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あったあった田舎伝説 (2)おもてなし
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「都会からの客人は夏のカントリーライフを楽しんでおったかな?」
「へえ、母親は田んぼでタモを振り回してイナゴ捕りをやっとりました。
『子供を産んだからカルシウムを取らなくっちゃ』なんて言って。
オヤツにも夕食にもモグモグと。
人間って案外ゲテモノ食いなんですね。ワッシ等の方がグルメだと」
「まあな、この辺の米は美味いからな。で、ガキ共は?」
「それがですね、草ボウボウの道を三人の兄弟がきゃぁきゃぁ言いながら、
後になり先になり歩いていたんで」
「なんだ、そりゃ」
「なんでも蛇は一番目の人に驚いて、二番目の人に噛み付くとかで、
二番目が女の子だもので逃げ回っていやした。
『いやん、お兄ちゃんが二番目に来てよ』
『オレだって出会っただけでビックリするのに、やだよ』
『弟を二番目にしようか』
『まだ小さいしなあ』 ・・・てな具合でした」
「お前はものまね芸人か」
「いやぁ、げ、い、人、かと言われるとちょっと・・」
「まあ、いい。おもちゃが無くても遊べるたあ、いいことだ。で、今は?」
「へえ、裸電球がぶら下がっているだけの小屋で五右衛門風呂です。
板を沈めるのに、えい、やっ、これでどうだ、と面白がっていやした」
「よっしゃ、子分共を集めておけ。客人の寝所は離れの小屋の二階だったな」
「へい、親分。いまにも壊れそうな傾いだ階段を上がって、手前が物置で、その奥です」
遊び疲れた子供達が目蓋を閉じようという頃、屋根裏では。
「さあ、みんな、集まったか、思いっきり走り回るんだ。賑やかにな」
「へい、ガッテンだ」
「お祖母ちゃん、天井でガタガタ音がしてるけど」
「ああ、ありゃネズミだよ、気にしなさんな」
不定期に続く・・予定 |
エッセイとカット:まかせ手 |
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