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独立型の居宅介護支援事業所 ケアプランそら 
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  静寂の中で  
 
忘れられないあの出来事は一本の電話から始まりました。

「令和大学病院の内科外来です」

「は、はい、夫に何か?」

「今、診察を終えられたのですが、主治医との会話が全然噛み合わなくてですね、脳に多少問題があるかと思われますので、このままお帰りいただくのも心配でして、はい、ご連絡致しました」

「済みません、直ぐに迎えに行きます」

 ついにきたのかしら? これからどうしよう。でも、もしかしたら・・・。

 心配しながら診療棟に行くと、廊下の両側には大勢の患者さんが、それはそれは静かに名前を呼ばれるのを待っていました。

 その中に夫の姿を見つけると、私は思わず大きなため息が出ました。 

 ああ、この静寂を私がブチ壊すのかと。

 夫の正面に立ち、屈んで顔を近付け、怒声ともいえるほどの声で聞きました。


「お父さん、補聴器は?

「忘れてきた」


あらやだ。補聴器つけるの忘れていたんですね。

それで認知症と思われたようです。

聞こえが悪くなると、話しかけられているのにも気付かなかったり、内容がわからず、適当に答えてしまうために、認知症と誤解されてしまうこともあります。

誤解されるだけではなく、難聴(聞こえが悪くなる)は、認知症になる危険因子のひとつでもあります。

「よい聞こえ」を取り戻すことは、QOL(Quality of life=生活の質)を高めるだけでなく、認知症を予防することにもつながります。

聞こえが悪くなると、外から入ってくる音(情報)が少なくなります。

会話するにも、聞き返しや聞き間違いが増えるので会話が億劫になります。

コミュニケーションがうまくいかないと、孤独に感じたりゆううつになってしまう可能性もあります。

日常生活の中で、音が合図として使われていることは、案外多いのです。
合図に気がつかないと、身体的な危険が増えたり、不便なことが多くなります。

例えば

    車の近づいてくる音や、クラクションを鳴らされても気がつけない。

    銀行や病院などで名前を呼ばれても気がつけない

    玄関のチャイム、携帯電話がなっているのに気が付かない

    電気釜や洗濯機などの電気製品の合図などに気がつけない

「少し聞こえが悪くなっただけだ」と軽く考えるのではなく、聞こえが悪くなったことを自覚し、補聴器装用の検討や、日常生活の中で改善を試みるなど、きちんと対処することが大切だと思います。
ご本人が耳が遠くなっていることに気付かないこともあります。
聴力の低下を感じたら、決して放置せずなるべく早く対処しましょう。

まずは、耳鼻科などの専門医の診察を受けて、聞こえが悪くなっている原因を探りましょう。
病気が原因のこともあります。
老人性難聴は、加齢にともなう脳の機能低下なども関係しています。
聞こえ改善の1つの手段として補聴器もあります。
補聴器は、慣れるまで時間と労力が必要です。まだ大丈夫!と思わずに、お早めに!

相談や購入する場合、家族や親しい人が同行された方が良いです。
なぜなら、人間は、音を耳と脳を使って聞いています。聞こえ方はひとそれぞれです。
なので、その方が、どのような生活をしているのか、どんなところに不便を感じているのか、あらゆる情報が聞こえの改善につながる一助となります。


1 耳鼻科補聴器相談医に診察を受けます。

2 「補聴器適合に関する診療情報提供書」を作成していただきます。

3 補聴器販売店に「診療情報提供書」を見せて、補聴器について相談(カウンセリング)します。

4 簡単なテストや聴力検査などを行い、自分にあった補聴器を探しましょう。

5 実際に補聴器を付けて体験することも大事です。

6 しっくりくるまで調整をかさねます。(自宅への貸し出しもあります)

7 購入してからも、調整は必要です。

  (※補聴器購入費用は、医療費控除」として申告できます。
「診療情報提供書の写し」と「補聴器の領収書」が必要です。)

日常生活では、聞こえが悪くなると、以前と同じようにコミュニケーションをとるのは難しいので、その方の状況を配慮して接することも大事です。具体的には、

   なるべく静かなところで話します
   お互いの顔(特に口元)が見える位置でお話します
   普通の声の大きさで、はっきりと話しましょう
   話す内容は簡潔にまとめましょう
   何度か聞き返されてしまう場合は、言い方(表現方法)を変えましょう
   話を始める前に、注意をこちらに向けるよう肩を叩くなど工夫しましょう。

あきらめないで、いろいろ工夫することで、快適な暮らしに少しずつでも近づくようにしたいものです。

暑いですから、水分補給と休養も大切にして、この夏をのりこえましょう。